数年前、ある私立女子中学で新入生の制服のご注文を承っていたときのことです。
ひとりの生徒さんに付き添って、お母様、お祖母様が一緒に来られました。
伺えば、親子三代にわたって、この同じ学校にご入学されるということ。
そして、私共を驚かせたのは、新しい制服のご注文とともに、お祖母様が在学時お召しになっていたセーラー服をご持参になられ、お孫さんに合うようにお直しのご依頼を頂いたことでした。
そのセーラー服とは、もちろん当時、私共で作らせて頂いたものです。
私共は、自分たちが作った制服を数十年のあいだ大切に持っていて下さったこと、そして、今度はお孫さんに着せてあげたいというお気持ちにふれ、学校制服に携わるものとしてこれほど嬉しいことはなく、感謝をこめて承らせて頂きました。
このように、お客様が二代、三代と同じ学校に入学され、同じ制服に袖を通される喜びに立ち会うことができたこと。
それはひとえに、私共が永年に渡り、学校様の信頼を得て制服をご提供させて頂いてきたからこそと、あらためて自分の仕事を誇りに思い、責任の重さを感じた春の一日となりました。